妙高高原 いもり池の晩夏2 |
藤原定家の拾遺愚草員外から
うつり香の 身にしむばかり 契るとて
扇の風の 行へたづねば
(意)移り香が身に沁みるばかりに言い交わすとしても、扇であおぐ風の行方を尋ねれば如何。移り香もやがて消え去るように、あの人の心は私を離れてゆくだろう
「拾遺愚草員外」とは「拾遺愚草」の続編とも言えるものです。定家自撰の私歌集です。この和歌の元歌は漢時代の成帝に寵愛された班婕妤(はんしょうよ)が愛妾の趙飛燕姉妹に嫉まれて成帝の寵愛を失った時に詠った怨詩です。
新裂斉紈素 鮮潔如霜雪
裁為合歓扇 団団似明月
出入君懐袖 動揺微風発
常恐秋節至 涼風奪炎熱
棄捐篋笥中 恩情中道絶
(意)
斉産の練絹を裂くと霜雪のように鮮やかに白い。
それを裁って合わせ張りの扇を作ります。まるまるとして明月のよう。
あなた様の袖懐に出入りして、動かすたびにそよ風が起こります。
いつも怖れますのは、秋の時節となって、涼風が炎熱を奪い、
この扇が箱の中に捨て置かれるように、あなた様のお情けが中途で絶えてしまうことです。
この漢詩は平安時代の和歌に大きな影響を与えました。
移り香とは体臭とか服に炊き込めたお香の匂いでしょう。昔は現代とは違いお風呂にはあまり入れませんでした。したがって体臭はかなり強かったのでしょう。そのために着る服にその人の香を象徴するお香を炊き込めていました。ベットインの時は着ている服を上に掛けて致したので、服に炊き込めた香りが相手の香だったのでしょう。移り香とも残り香とも言いますが、その香りが月の光しかない暗闇の中で相手を確認する一つの手段だったのでしょう。移り香とはベットインした相手の匂いが自分の身体につく事だったのでしょう。残り香とは相手が去った後で残された恋しい人の匂い事なのでしょう。平安時代は恋の相手の香りには敏感に反応をしたようです。
和泉式部の和歌で千載集に載せられた和歌があります。
かをる香に よそふるよりは ほととぎす
聞かばやおなじ 声やしたると
(意)橘の香になぞらえて昔の人を偲ぶよりは、時鳥の声が昔と同じかどうか聞いてみたいものです。(亡き兄宮を懐かしむよりも、生きておられる弟宮のあなたのお声を聞いてみたいものです。兄宮と似ておられるかどうかと。)
この歌は和泉式部が付き合っていた為尊親王が若くして亡くなり、弟宮の敦道親王が花橘の枝を送って口説いてきたときの返事の歌です。敦道親王は和泉式部の和歌に対して
おなじ枝に なきつつをりし 郭公
こゑはかはらぬ 物としらなむ
(意)同じ枝に鳴いていた時鳥ですから、声は変わらないものとご承知下さい。
これで和泉式部は死んだ為尊親王から弟宮の敦道親王に乗り換えました。二人を結びつけた人物は亡くなった為尊親王の小舎人童(こどねりわらわ)で為尊親王の手紙などを持って運ぶ役目でした。為尊親王が亡くなり敦道親王の小舎人童となり二人を結びつけるキューピットの役割を果たしたのです。よほど相性が良かったのでしょう、敦道親王と和泉式部の二人はピッタンコとなり宮廷の大スキャンダルの幕開けとなったのです。藤原道長が和泉式部を「浮かれ女」と評したのです。敦道親王が浮気っぽい恋人の和泉式部が他の男になびく事を心配した敦道親王は自分の屋敷に和泉式部を入れた事により敦道親王の北の方(正妻)が家出をする事になりました。当時としては男が女性の家に通うのは問題にされませんでしたが、相手の女性を自宅に囲う事は大スキャンダルでした。当時は男性が女性の屋敷や部屋へ訪れるのが基本でしたが、高貴な身分の場合は正妻は男性の屋敷に住む事が多かったようです。そこへ恋人を連れ込んだので正妻は怒って家出をしたのでしょう。当時の宮廷を騒がした重大事件でした。
P.S.
☆石破茂氏、「寄らば大樹という言葉は嫌いだ」 本当のことを言わなければ政治家ではない (6ページです)
今まで回り道をしてきたのでしょう。やっと腹が座ったのかも知れません。このまま安倍の暴走を許しては日本が崩壊をします。
☆8年前のような「大暴落」を否定できない理由 緩和傾向だった金融政策の限界が見えてきた (3ページです)
そろそろ安倍政権の限界が見えてきました。このままでは日本沈没になってしまいます。出口のない経済金融政策は直ちにやめるべきですが、一気に止めるととんでもない事になります。徐々にスローダウンさせていかないといけないでしょう。非常に難しいのですが、このまま突っ走って日本崩壊をもたらすよりも国民への被害は少ないでしょう。愚かな人物を国民は間接的に選んでしまったのです。
☆アベノミクスは、江戸時代に一度「大失敗」していた! 歴史家が危惧する「いつか通った道」 (2ページです)
歴史に学ぶことも必要なのです。
☆ETF購入は3日に1回ペースへ 日銀の“株爆買い”が始まった (2ページです)
狂っているとしか思えません。出口が無いのにどうするつもりなのでしょうか?
☆豊洲“隠蔽”の可能性 小池知事、徹底調査を指示 「新党」結成に現実味 (3ページです)
☆なぜ「地下空間」? 深まるナゾ 豊洲「盛り土」問題 専門家からは疑問の声 (2ページです)
☆豊洲市場「爆発」の恐れも 地下空洞に引火性ガスの危険性 (2ページです)
汚染対策費が盛り土をする586億円から盛り土を止めて858億円と272億円も増えている事は納得が出来ませんね。安くなっているはずなのに逆に工事費が上がる事は常識では考えられない事です。資金の流用があったのか、あるは誰かの懐に消えたのか?いずれにしても刑事事件になる話で。しかし安倍政権は絶対に有耶無耶にするでしょう。やはり関係をしているとしか思えませんが、関係していないのであれば特捜部と国税に捜査を指示すればいいのです。しかし実質的な指揮権発動で有耶無耶にするつもりでしょう。これは地検特捜部と国税の共同捜査でなければ話が進まない事件となるでしょう。タックヘイブンを使って資金を浄化しているかも知れません。巨額な資金の流れです。金融機関の口座を洗えば一目瞭然でしょう。このような大きな事件では必ずカギを握る人物の死人が出るのです。当然裏の社会の人達も絡んでいるでしょう。裾野は広いでしょう。
☆豊洲市場の主要3施設、落札率なんと99.9% 各工事応札1企業体のみ、指摘される「談合」 (2ページです)
利権の問題もあるでしょうし、官僚の定年後の天下り先確保もあったのでしょう。この数字から見ると明らかに官製談合があったのでしょう。
☆金正恩は真っ青? 中国が北朝鮮への追加制裁に同意表明
私は中国を信用しません。本気で中国が北朝鮮制裁を行えば数か月で北朝鮮は崩壊をします。しかし今回も中国は出来ないでしょう。出来るとしたらアメリカが北朝鮮での中国の権益を無条件で認めれば別でしょうが!この中国の権益は中国の実力者の誰かの懐に入るお金なのかも知れません。