志賀高原 丸池の紅葉 |
古今集から
今はとて わが身時雨に ふりぬれば
言の葉さへに うつろひにけり 小野小町
(意)今はもう、時雨が降ると色が変わる樹々のように、我が身も涙に濡れて古びてしまったので、あなたが以前約束して下さった言の葉さえも変わってしまったのです。
人を思ふ こころ木の葉に あらばこそ
風のまにまに 散りもみだれめ 小野貞樹
(意)あなたは、人を思う心は木の葉のように変わってしまうとおっしゃる――そうであるなら、たしかに風の吹くままに散り乱れてしまうでしょう。しかし、私があなたを思う心は、そんなに軽々しいものではありません。散り乱れることなど決してありませんよ。
時雨に濡れて木の葉が色を変えることにかけて心変わりを咎めた小町の歌に対し、人の心は木の葉とは違うと貞樹が応じた歌です。